primitiveがおくるシューティング・exceptionより、
カワノマサキ作曲、『Function』。2面で流れます。
i-saint氏が個人運営する同人サークル・primitiveの代表作にあたる本作。立方体の自機を操作して大量に押し寄せる敵や障害物を捌きながら全5面を攻略していく。公式で全方位スクロール物量系アブストラクト系シューティングと銘打つ通り、見た目は抽象的でシンプル、中身はゴリゴリの物量攻めで画面いっぱいの四方八方に所狭しとオブジェクトが表示される点が特徴である。攻撃手段は主に三つ、前方集中型のレーザー、周囲を一掃する追尾型のレイ、ゲージ消費で前方の敵を吹き飛ばすカタパルトがあるが、カタパルトはそれ自体にダメージを与える力はない。敵を破壊すると破片が散らばり、カタパルトで自機の前方の敵を吹き飛ばしてこれらの破片に衝突させることで大ダメージを食らわせるという変わり種のアクションで、物量とギミックを駆使したテクニカルな戦い方ができる。自機はライフ制で時間経過で自然回復する形式で、全方位ならではの空間的な広がりや地形要素の多彩さ、オブジェクトを崩すことで道を切り拓く仕掛けなどが含まれ、シューティングであると同時に3Dの物理演算パズル的な遊び心地がある。総じて研ぎ澄まされた斬新さがある仕上がりとなっている。後にアーケードに移植された。
本作の音楽を担当するのはカワノマサキ氏。Phantom Entertainmentの屋号のもとで活動するフリーランスの作曲家で、主にCMや動画向けに楽曲提供している。ゲーム音楽を手がけるのはおそらく本作が初めてで、本作のアーケード版でも追加楽曲を書き下ろしている。多くを語らぬ無機質で抽象的な世界観に合わせて、本作の音楽はストイックなテクノやミニマル系を軸としつつ、シンセやギター、クワイアをうまく取り入れてメロディアスな起伏を設けている。サウンドトラックはゲーム本体のCD版に付属されているほか、アーケード版の追加曲も含めて収録したものがデジタル配信されている。
2面で流れるのがこの曲である。うねるシンセに透き通るピアノの高音の組み合わせがなんとも気持ち良く、開始直後から惹き込まれる魅力がある。13秒あたりから次第に音量を上げながらダンサブルなフレーズが鳴り渡ることでますます昂揚感を強め、21秒で一旦止んだと思いきや、すぐさま23秒から再び勢いを取り戻して盛り上げる。29秒からは主旋律のピアノの他に鐘の煌びやかな音色も添えて、うっとりさせられるような響きを帯びるが、41~42秒にはさながら銃撃音のごとく激しく攻撃的な刻み方をして適度な緊張感を生み出す。1分過ぎに一通り主要なメロディーを奏で終えると、しばらく聴き覚えのある展開が続くが、1分半には以前とキーを変えて雰囲気に変化をもたらしている。恍惚感と切迫感が見事に絡み合った一曲である。
聴いていると心が満たされていく感じがして好きです。