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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1641 『Disaster』(池頼広/DISASTER DAY OF CRISIS/Wii)

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モノリスソフトがおくるサバイバルアクション・DISASTER DAY OF CRISISより、

池頼広作曲、『Disaster』。オープニングデモとタイトル画面で流れます。

ゼノシリーズで知られるモノリスソフトによるWii向けのオリジナル作品にあたる本作。災害現場の元レスキュー隊員・レイは、壊滅したはずの武装集団に亡き親友の妹を誘拐され、救助に向かう先で多くの危機に立ち向かうことになる。全23面構成のステージクリア型の3Dアクションで、地震津波、火山噴火、武装集団との銃撃戦、カーチェイスなど様々な災害と難局を乗り越えていく。映画的な演出や展開が盛りだくさんで、物語はありきたりな王道一本道だが、B級パニックものらしい定番が揃っている。Wiiリモコンとヌンチャクを駆使したアクションが充実していて、リモコンをタイミングよく下げて心臓マッサージをしたり、回避したい方向に振って障害物をよけたり、横持ちでハンドルに見立てて車を運転したりと、シーンごとに取れる行動が多彩である。銃撃戦はガンシューティングの要領で狙撃したり物陰に隠れたりする駆け引きがあり、とっつきやすい操作感と適度なスリルを両立している。道中の収集要素や称号によるやり込み要素なども多く、細々とした工夫や遊び心が感じられる。総じてWiiらしいコンセプトとゲーム性が嚙み合った仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは池瀬広氏。主にドラマや映画、アニメの劇伴作曲の分野で活躍する作曲家である。ゲーム方面では本作以前には三國志シリーズにおいて2作品を担当したことがある。本作は映画らしさを前面に押し出していて、音楽もそれに合わせていかにもハリウッド的な大仰さのあるダイナミックなオーケストラサウンドで構成される。ストリングスを軸に緊迫感のあるムードを形成し、そこにブラスを乗せて力強いインパクトを生み出している。サウンドトラックは未発売だが、メインテーマのみ池氏の作品をまとめたアルバムのなかに収録されている。

メインテーマとしてオープニングデモとタイトル画面で流れるのがこの曲である。オープニングデモは映画の予告編仕立てでアクションシーン満載で、タイトル画面もロゴの後ろでダイジェスト風のムービーが流れ続ける凝ったつくりである。開幕から管弦楽器とドラムの怒涛のアンサンブルが印象的で、いきなりクライマックスと言わんばかりの極上の興奮を漂わせる。勇ましくけたたましく使命感あふれる曲調だが、14秒から入るストリングスの調べはしっとりとした哀愁を帯びていて、屈強さのなかに葛藤や苦悩を感じさせる。27秒からはブラスが同じ旋律をなぞってますます盛り上げ、45秒頃になるとクワイアも織り交ぜて壮大さを演出する。なかでも1分11秒からの切迫したコーラスは象徴的で、管弦楽器のドラマチックな音色と組み合わさって一種強烈な悲壮感を放っている。1分38秒で鐘が鳴るのを合図に新たな展開をみせ、最初からクライマックス全開だがあらためて今一度クライマックスに突入する。2分5秒には一斉に恐ろしく重厚な音色を披露して急ブレーキをかけ、仕切り直して再びラストまで駆け抜けていく。2分35秒以降はだいぶ静かになるが、依然として興奮冷めやらぬ余韻が残っている。プレッシャーとカタルシスに満ちた一曲である。

格好良いですよね、レスキュー隊員とか憧れます。オープニングデモもあわせてどうぞ。

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