トーセがおくるマリンアクション・伝説のスタフィーより、
岩本守弘作曲、たいけつ!ダイール海賊団の『たいけつ!ダイール』。
ダイールとの戦いで流れます。
星の形をした主人公・スタフィーの活躍を描く伝説のスタフィーシリーズの5作目にあたる本作。今度のスタフィーは雲の上で平和に暮らしていたところ、空から落ちてきた記憶喪失のウサギの男の子と出会い、彼を追うワルモノたちに対処するうちに海へ落っこちてしまい、てんやわんやの冒険を繰り広げることになる。各ステージ複数エリアから成る8ステージ+クリア後2ステージ構成のカジュアルでオーソドックスなステージクリア型アクションである。道中のステージは2Dドット絵、会話やムービーはコミック風のイラスト調、着せ替えなどの一部シーンは3Dで、多少のデザイン変更はあれどシリーズおなじみの親しみやすく丁寧なグラフィックが楽しめる。新要素としてスタフィーに変身能力が備わり、ドラゴンで火を吹いて敵や障害物を燃やしたり、アザラシで氷の剣を使って敵や氷のブロックを貫いたりすることができる。全体的にボスの攻略法含めて非常に易しく単調なところがあるが、ワイヤレス通信による二人協力プレイやミニゲームなども一通り取り揃えられている。総じてシンプルに抑えられた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩本守弘氏。伝説のスタフィーシリーズすべてに携わっている馴染みの作曲家である。シリーズサウンドの特徴である愛嬌たっぷりでときどきシリアスな作風は本作でも健在で、DSでの2作目ということもあって笛やハーモニカ系の音色を中心により綺麗で溌剌とした表現力を帯びるようになっている。基本的には弾けた明るさのある笛や木琴、しっとり気持ち良いエレクトリックピアノなどの柔らかい音色が多く用いられるが、戦闘曲を中心に派手なオーケストラヒットや高圧的なベースなどを象徴的に取り入れてメリハリをつけている。サウンドトラックは未発売だが、作中に例によってサウンドテスト機能が存在し、曲名が判明している。
ダイールとの戦いで流れるのがこの曲である。ダイールは海賊団の首領である赤いワニで、非常に残忍で独善的な性格の持ち主である。本作の諸悪の根源たるワルモノでありラスボスであり、イベントを挟みながら三度にわたって挑むラストバトルの一戦目と二戦目でこの曲がかかる。一戦目は無敵のバリアが張られていて一切ダメージが通らない負けイベントだが、二戦目でバリアがなくなって戦えるようになる。最初の一音から圧が強く予断を許さない雰囲気が徹底されていて、オーケストラヒットやシンバル、シンセストリングスを巧みに組み合わせて鋭い緊迫感を漂わせる。10~12秒でやや癖のある予測不能なフレーズを披露した後、ダイヤル音に似た高音を周期的に鳴らし続け、やがて24~28秒であらためてオケヒを強調する形で癖のあるフレーズを挿入する。以降、ようやく主役と言えるようなメロディーが入り、後半に進むにつれてダイヤル音やオケヒを重ね合わせて強烈な迫力を生む。憎めない悪役などではなく純粋に倒すべき巨悪らしいアグレッシブなプレッシャーを放つ一曲である。
三戦目の『さいしゅうけっせん』も、この曲で高まったプレッシャーを受け継いでスピーディーに畳みかけるさまがなかなか決まっていて格好良いですね。あわせてどうぞ。