笠井勲作曲、『キャラクターセレクト』(仮称)。
キャラクターセレクト画面で流れます。
ラクジンが開発してバンプレストが販売を手がける格闘ゲーム・幻影闘技の流れを汲む実質的な続編にあたる本作。謎の人物・メルコールが主催するサバイバルゲームに招待された格闘家たちは、それぞれの思いを胸に相争うことになる。2Dのゲーム性で3Dポリゴンのキャラを動かす対戦格闘ゲームで、幻影闘技からの続投キャラ含めて10人+隠し4人がプレイアブルである。勝ち抜き戦に挑むトーナメンドモード、戦いを通じてカードを入手してキャラを自分好みに育成できるトレーディングモード、物語を濃密に描くシアターモード、対戦用のVSモードが収録されている。特にシアターモードはテキストアドベンチャー風で随所にアニメムービーを挟まれる本格仕様で王道な熱さを味わえる。肝となるゲームシステムに関しては、連続技を繰り出すスピーディーさと操作のレスポンスの良好さが担保されている。そのうえで逆転要素としてゲージ満タンで発動できるクリティカルブロウがあり、当たれば一撃必殺という代物だが、ゲームバランスを崩さない程度に駆け引きの一部として丁寧に組み込まれている。総じて意欲が光る力作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは笠井勲氏。ラクジンに所属する作曲家である。幻影闘技には関わっていなかったが、本作では作曲と効果音の両方を単独で請け負っている。シンセポップやテクノ系の軽快でガッツのあるサウンドが揃っていて、キャラではなくステージに結び付く形で曲が用意されている。ストーリーに注力していることもあって、力強さのなかに切なさが入り交じるような物語性を感じさせるものもすくなくない。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
キャラクターセレクト画面で流れるのがこの曲である。出だしから全能感あふれるシンセが燦然と響き渡る、一昔前のハイパーテクノ風のキャッチーなナンバーである。眩い音色に掻き消されることなくパーカッションがしっかり周期的に刻まれ、思わず手拍子を入れたくなるようなノリの良さがある。13秒から加わる高速フレーズは強い昂揚感に満ちていて、25秒のオーケストラヒットには抜群の迫力がある。キャラクターセレクトの曲ならこの段階で1ループが終わってもおかしくないが、聴き進めると51秒から新パートが待ち受ける。潔く盛り上げたあと、1分4秒でピアノの見せ場があり、さらに1分10秒からは束の間ながらオーケストラヒットが主役を務めて派手に締め括る。試合前から最高潮の興奮をもたらす一曲である。
入れたくなるのは手拍子より、ジュリアナ東京のあれみたいな「フォウ!」という掛け声でしょうか……?