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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#802 『戦場へ』(山上毅/武器よさらば/iOS・And)

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Wright Flyer Studiosがおくる「大人の漢専用」アクションRPG武器よさらばより、

山上毅作曲、『戦場へ』。通常戦闘で流れます。

消滅都市などで知られるWright Flyer Studiosの新作アクションRPGとして登場した本作。警備用ロボット・エニグマの暴走をきっかけに荒廃した世界を舞台に、特殊強化兵の青年・ユウゴは戦場で絶命するも、100年後の未来にて技術者・ミヅキの手によって蘇生、長きにわたる戦争に終止符を打つべく再び戦いに身を投じることになる。1ステージに100体以上の敵が出現する一騎当千型の3Dアクションで、大剣・双剣・ハンマー・ナックルの4種の武器を使いこなしながら豪快に攻略していく。他プレイヤーとギルドを組むオンライン要素もあり、キャッチコピーの「大人の漢専用」に恥じぬ硬派な仕上がりとなっている(現在はサービス終了済み)。

本作の音楽を担当するのは牧野忠義氏、山上毅氏、結城知也氏、Daniel Lindholm氏。編曲のみの参加で竹内雅樹氏も携わっている。竹内氏、山上氏、結城氏はWright Flyer Studiosのサウンドチームに所属するメンバーで、牧野氏は音楽制作会社スピンソルファの代表を務める作曲家、Lindholm氏はスウェーデン出身の作曲家で、日本国内では当時、音楽制作会社ATTICに所属していた。本作では「EDM+スパニッシュ」というコンセプトをもとに、迫力のあるギターサウンド(アコースティック・エレクトリック問わず)が揃っている。また、メインテーマにはスペイン語ボーカルを用いたり、ゲームタイトルと同様に一部の曲名のネーミングにも海外文学由来の要素を絡めたりするなど、挑戦的な姿勢が窺える。サウンドトラックはボーカル曲も含めて収録されている。

通常のストーリーや素材イベントなどのバトルステージで流れるのがこの曲である。穏やかで温かいイントロが流れるのも束の間、8秒からはアコギとドラムとカスタネットとが混ざり合った高純度のスパニッシュダンスミュージックへと変容する。小気味よく拍子を刻むリズミカルなビートに、疾走感と爽快感を湛えつつも抑え難い哀愁を滲ませるギターの旋律が重なることで、ハードボイルドな渋味を漂わせている。大量の敵を薙ぎ倒す痛快な悲愴感を表現した一曲である。

「大人の漢専用」も「EDM+スパニッシュ」も字面のインパクトがすごいですよね。