ゲームリパブリックがおくるアクションアドベンチャー・FolksSoulより、
佐宗綾子作曲、『忘れられた村』。レムリック村で流れます。
PS3初期の完全新作ダークファンタジーとして登場した本作。幼少期に母親に先立たれた女性・エレンと、オカルト雑誌編集者の男・キーツの二人を主人公に、死亡したはずの母から手紙を受け取ったエレン、不可解な電話を受け取ったキーツは、導かれるようにして辺境の廃村・レムリック村にやってきて、生死の狭間の異界を旅することになる。アイルランドの神話や伝承をモチーフにした退廃的な世界観のもと、エレン編とキーツ編の二つの視点から妖精界、戦争界、地獄界などの七つの異界を冒険していく。コントローラーのモーションセンサーを左右に傾けたり上に持ち上げたりしてフォークスと呼ばれる異界のモンスターの魂を引き抜く、釣りのような独特なアクションが特徴で、吸収した魂を使役することでバラエティ豊かな特殊能力を発揮できる。心の奥に響くような重厚さを誇る仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは川井憲次氏、齋藤博人氏、佐宗綾子氏、細江慎治氏、向島ゆり子氏の五名。川井氏は映画やアニメの劇判を中心に活躍している作曲家で、細江氏と佐宗氏は音楽制作会社スーパースィープに所属する作曲家、齋藤氏と向島氏(バイオリン、ヴィオラ、アコーディオン等のソリストとしても知られ、実際に本作でも楽器を演奏している)はフリーランスの作曲家である。本作では死生観が色濃く反映された暗澹とした作風を表現すべく、奈落の底へと沈み込むような深みのある幻想的なオーケストラサウンドが揃っていて、アイリッシュフルートをフィーチャーした民族音楽調のものから、戦闘曲を中心に狂気的な焦燥感を滲ませたものまで、様々な表情を持つ楽曲が存在する。サウンドトラックは主題歌を除き3枚組で収録されている。
本作の物語の舞台であり、死者と会えるという伝承が残る辺境の寒村・レムリック村で流れるのがこの曲である。最初から最後までピアノのみで奏でられる独奏曲で、一音ずつゆったりと刻まれる音色が、ピアノの表現力の豊かさを最大限にまで引き出し、妖しくも美しい雰囲気を見事に描写している。その物憂げで物静かな旋律は、生と死が交わる謎多きレムリック村を艶やかに彩り、1分8秒あたりから挿入されるミステリアスなフレーズが、長閑でありながら胸騒ぎがするようなアンビバレントな印象を与える。音の隅々にまでダークファンタジーらしさが染み着いた一曲である。
ずっとどこかで聴いたことがあるような気がしていたのですが、その正体がメトロイドプライムの『墜落船フリゲートオルフェオン』だと最近気付きました。イントロや曲調がよく似ていますね。どっちもとても好みです。