タイトーがおくる3Dシューティング・ギャラクティックストームより、
小倉久佳作曲、『PROTMIND ~Main Theme~』。1面で流れます。
アーケード用の疑似3Dシューティングとして開発された本作。突如地球に襲来してきた謎の敵軍に立ち向かうべく、人類の存亡を賭けて出撃することになる。アナログレバー一本による簡素な操作体系が特徴で、簡素すぎるがゆえに的確なエイムをするのが難しかったり、自機が大きくて全体的な視認性が著しく損なわれていたりするなど、かなり攻略しづらいゲームバランスに仕上がっている。一方で、質の高い音楽とグラフィックが織り成す重厚な世界観は非常に魅力的で、総合的にみて尖った出来映えとなっている。
本作の音楽を担当するのは小倉久佳氏。当時、タイトーのサウンドチームであるZUNTATAに所属していた作曲家である。本作は音楽ありきでつくられたという噂がまことしやかにささやかれるほど、音楽の評価が高いことで知られていて、それまでのゲーム音楽では類を見ない本格的なシンセサイザー用の音源チップを採用することで、90年代初期のサウンドとは思えないほどの革新的な音質を誇るに至った。本作の近未来的な作風に見合った冷たく煌びやかな楽曲が揃っている。サウンドトラックはサイトロン・レーベルのG.S.M.シリーズの一環として発売され、本編では語られなかった世界観の詳細な設定なども明かされている。
開始直後の1面で流れるのがこの曲である。副題にある通り、本作のメインテーマという位置付けで、透明感を帯びた金属質の音色と、ときどき聴こえる女性の吐息が印象的である。ピアノとサックスが絡み合って奏でられる旋律は、その美しさのなかに、行き過ぎた未来技術への悔恨を想起させるような退廃的な魅力を内包している。溜め息のような何気なさで要所要所に吐息が挿入されることで、絶妙な浮遊感を生み出していて、メインテーマにふさわしい鮮烈なインパクトを与えてくれる一曲である。
サントラにはアレンジ版も収録されていて、こちらは吐息の代わりにはっきりと女性の声で歌っている部分があって、より鮮明に響くピアノの音色や絶え間なく響く電子音に、一種独特な幻想的な色合いを加えています。アレンジ版もあわせてどうぞ。