VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#156 『Hope journey』(三好智己/LOST SPHEAR/PS4・NS)

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Tokyo RPG FactoryがおくるRPG・LOST SPHEARより、

三好智己作曲、『Hope journey』。フィールドで流れます。

2015年にスクエニが新設した国産RPG専門の開発スタジオ・Tokyo RPG Factory。本作はいけにえと雪のセツナに続くProject SETSUNAの第2弾として登場し、昔ながらの落ち着いた世界観と独特な寂寥感が特徴である。月がすべてを創ったと伝承される世界を舞台に、記憶の喪失により相次ぐ白化現象・ロストに立ち向かうべく、記憶の力を操る主人公が再生の旅に出ることになる。戦闘システムはいけにえと雪のセツナ同様、クロノ・トリガーをベースとしたATB2.0を採用していて、素朴なグラフィックと切なさあふれるストーリーは、どちらも堅実な出来栄えとなっている。

本作の音楽を担当するのは三好智己氏。氏は2012年に弱冠16歳でデビューした新進気鋭の若手作曲家であり、本作ではセツナから引き続きすべての曲を単独で作曲している。ほぼピアノ独奏だったセツナとは一転、バラエティ豊かな楽器で彩られる本作の楽曲は、記憶をテーマにした淡くて繊細な曲調のものが多くなっている。サウンドトラックは2枚組で発売されていて、一部の楽曲はサントラ用の特設サイトで試聴もできる。

ロスト現象により真っ白な霧に覆われた儚くも美しいフィールドで流れるのがこの曲である。果てしない旅への憧憬を滲ませた、透き通るような笛の音と、優しく丁寧に奏でられるピアノの音が重なり合って、煌びやかなメロディーラインを形成している。心を締め付けるような哀愁をたっぷり含みつつ、決して悲観的ではない、世界に立ち向かう勇気を感じさせる力強い音使いは、聴く者にノスタルジックな印象を与えてくれる。「希望の旅」という曲名にぴったりな一曲である。

笛の音とフィールド曲の親和力はいつの時代も変わらないと思っています。幻想水滸伝の『平原と空』やドラクエの『おおぞらをとぶ』は好例ですね。

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