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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#999 『イーストキオン』(六土開正/エレメンタル ギミック ギア/DC)

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バースデイがおくるアクションRPG・E.G.G.より、

六土開正作曲・嶋倉一朗編曲、『イーストキオン』。イーストキオンの町で流れます。

貝獣物語シリーズで知られるバースデイが開発した本作。ジャングルで発見された超古代遺跡で老いることなく眠り続けていた記憶喪失の主人公・レオンは、突如として遺跡が触手を生やして暴走したことをきっかけに目を覚まし、謎の卵型の機体・エレメンタルギミックギア(E.G.G.)を駆って自らの記憶と遺跡の謎を解き明かすことになる。手書き風の独特な色味のあるグラフィックと、オーバーテクノロジーのSFの作風が特徴で、基本は2DでE.G.G.を操作して遺跡を踏破し、ボス戦は3Dで戦う。遺跡ではブロックを動かしたりスイッチを切り替えたりするなどの仕掛けが満載で、アクションは通常攻撃のリーチの短さも相まって歯応えがある。ユニークな世界観と堅実な謎解き要素が魅力的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは六土開正氏と嶋倉一朗氏。六土氏はロックバンド・安全地帯のベーシスト兼キーボーディストで、バンド活動休止中だった当時、ゲーム音楽方面で貝獣物語シリーズやじゅうべえくえすとなどバースデイ製の作品に多く携わっていた。対する嶋倉氏は発売元であるハドソンに当時所属していた作曲家で、本作では編曲に徹している。本作では古代文明の神秘を感じさせるような幻想的で哀愁漂う楽曲が揃っている一方で、ボス戦では打って変わってシンセやオルガンを主軸に据えたアップテンポなサウンドを聴くことができる。サウンドトラックは一部楽曲のアレンジやジングル集、効果音集なども含めて収録されている。

イーストキオンの町で流れるのがこの曲である。イーストキオンは冒険の拠点であり、触手の侵食痕などの荒廃した様子があちこちに見受けられる。それでもしたたかに存続する町並みを、弦のピチカートとタンバリンによる瑞々しい伴奏と、フルートの穏やかな主旋律で物憂げに彩る。32秒からはフルートの後を追うようにして情緒的なストリングスが寄り添い、哀しみとともに美しさを印象付ける。間奏を経て、1分13秒からリタルダンド(だんだん遅く)をかけて調子を整えると、続くサビがいっそう豊かな寂寥感を帯びる。メランコリックだが前向きさも感じさせる、不思議な安らぎに満ちた一曲である。

個人的には指折りの町曲です。オープニングムービーで流れる『E.G.G.(Movie Version)』、スタッフロールで流れる『E.G.G.』ともメロディーが共通していて、いわゆるメインテーマらしい、本作の世界観がぎゅっと詰まった曲ですね。『E.G.G.(Movie Version)』、『E.G.G.』、それからかなり趣向を変えたサントラのアレンジ版もあわせてどうぞ。

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