角川ゲームスがおくる神話構想RPG・ザロストチャイルドより、
中村隆之作曲、『製錬ブルース』。パンデモカメラで流れます。
エルシャダイの流れを汲むダンジョンRPGとして登場した本作。現代日本を舞台に、雑誌ライターの青年・伊吹隼人は、取材中に命を落としかけるも謎の美女に救われ、悪魔や堕天使といったアストラルを捕縛するための魔銃・ガンゴールを託されたことを契機に、壮絶な天魔抗争に巻き込まれることになる。エノク書はもちろんクトゥルフ神話などをベースにした癖の強い濃密な世界観が特徴で、取材を通じて情報収集をするアドベンチャーパートと、アストラルを捕縛して味方として使役しながらギミック豊かなダンジョンを踏破していくパートに分かれている。戦闘はターン制コマンドバトル、アイテムを鑑定したり武器を強化する要素や、アストラルをSIN化させて能力を引き出す成長要素などもある。全体的なつくりはオーソドックスだが、独特な濃さがある仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは中村隆之氏。音楽制作会社ブレインストームの代表で、角川ゲームス製の作品には本作以前にロデア・ザ・スカイソルジャーや√Letterなどでの作曲経験がある。本作ではコーラスを多く取り入れた神々しいオーケストラサウンドが揃っていて、一部エルシャダイから流用されている楽曲も含まれる。サウンドトラックは期間限定で発売されたデジタル限定版に付属されていて、現在は入手不可である。
パンデモカメラとは堕天使の偏屈な爺さんが店主を務めるカメラ屋のことで、作中ではアイテムの鑑定や武具の強化ができる場所として登場する。そこで流れるこの曲は、曲名にブルースとある通り、ダウナーな雰囲気漂う抑鬱的な曲調が印象的である。エレキギターの泥臭い旋律が名状しがたい哀愁を誘い、物憂げだがリズミカルな音使いが耳に馴染むような不思議な魅力を生み出す。メランコリックな響きを帯びつつ、聴けば聴くほど胸がすくような奇妙な温かみのある一曲である。
すごく雰囲気に合った曲名ですね。店名のセンスも好きです。