VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1104 『開闢(かいびゃく)』(尾池直人/BORDER BREAK/PS4)

www.youtube.com

セガがおくるハイスピードロボットチームバトル・ボーダーブレイクより、

尾池直人作曲、PS4版の『開闢(かいびゃく)』。

β陣営側のナローレイ深地隙で流れます。

主にアーケード向けに展開しているボーダーブレイクシリーズのうち、初のコンシューマー版として基本プレイ無料で登場した本作。深刻な資源問題に悩まされる人類にもたらされた毒性の新資源・ニュードをめぐり、各地で紛争が勃発するなか、人型兵器のブラスト・ランナーに搭乗するボーダーの一員となって戦うことになる。ルールはアーケード同様、最大10vs10のチーム戦で機体を駆って敵陣のコアを破壊するというもので、通常のコントローラに加えて、エイミングしやすいようマウス操作にも対応している。スタミナ等の制限がなく無料で遊べるが、機体のカスタマイズに必要な武器やパーツは概ねガチャ排出に依存している。実力差のあるプレイヤーともマッチングされかねない仕様上、ややシビアなゲームバランスに調整されている。アップデートやイベントの開催は継続的におこなわれているなど、基本プレイ無料の作品らしい仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは伊藤二三雄氏、尾池直人氏、永田泰之氏、高木一樹氏、鷹野めぐみ氏、三島順平氏。いずれもセガに所属する作曲家で、ボーダーブレイクシリーズの作曲担当としておなじみの顔ぶれである。本作ではアーケードからの流用曲が多いが、コンシューマー用の新マップやストーリーモードの追加にあわせてオリジナル曲も一定数書き下ろされている。近未来のロボットものらしいシンセやオーケストラを駆使したスタイリッシュなサウンドが揃っていて、アップデートに応じて順次、曲が追加されている。サウンドトラックは複数のボリュームに分かれて発売されている。

2019年3月のVer.2.00のアップデートで実装された完全新規マップ・ナローレイ深地隙のβ陣営側で流れるのがこの曲である。入り組んだ採掘場と鬱蒼と茂る自然が特徴的なマップで、全体的に狭いため周囲の安全確保が難しい(≒奇襲しやすくされやすい)構造となっている。α陣営側で流れる『Ground Shaker』(永田氏の作曲)は賑やかでダンサブルなロックナンバーだが、この曲はオーケストラ色の強いシンフォニックロックに仕上がっている。イントロから華やかな演奏を披露するストリングスが印象的で、電子音やギターの重厚な伴奏と相まって、非常に派手で爽快な勢いを生む。はじめはストリングスがメインだが、25秒から電子音が目立ち、37秒からブラスが存在感を強めるなど、フレーズごとに異なる主役が据えられている。1分過ぎでストリングスが舞い戻ると、競り合うように電子音やブラスも強めに主張し、ただでさえ派手な曲調がいっそう騒がしくなる。狭かろうが構わず前線を切り拓こうとする力強さを感じさせる一曲である。

曲名は天地開闢の開闢、何かを切り拓いたりすることですね。『Ground Shaker』もあわせてどうぞ。

www.youtube.com