VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1180 『Listen to the Music』(石井咲・高橋洋明/ギャロップレーサー ラッキー7/PS2)

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テクモがおくるジョッキーレースゲーム・ギャロップレーサーより、

石井咲・高橋洋明作曲、7の『Listen to the Music』。

ドバイワールドカップで流れます。

ジョッキーのキャリアを追体験するギャロップレーサーシリーズのうち、ナンバリング7作目にあたる本作。新人ジョッキーの主人公は、調教師や競走馬とともに競馬界の頂点を目指すことになる。様々な馬に乗ってレースに出場する傍ら、調教師やライバルたちと多彩なイベントを通して交流する、という主たるゲーム性はそのままに、本作では発売当時(2004年)までの競走馬のデータが搭載されている。レース中には加減速やヨレなど、コンディション等に応じてリアルな操作を要求するようになったほか、馬を特徴づけるアビリティの種類が増え、より馬ごとの個性が出るようになった。前作でもあったレボリューション(条件を満たすと直線でぶっちぎりの力を発揮するシステム)は健在で、スロットの7が三つ揃うと最大の効果を得られて派手な演出を楽しめる。そのほか、ネットワーク対戦の機能が拡充されたほか、メモリアルモードという実際にあった過去のレースを再現する要素も加わった。シリーズの方向性を調整しつつ、いろんな要素を盛り込んだ意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは石井咲氏と高橋洋明氏。石井氏は当時テクモに、高橋氏は現在も吸収合併を経てコーエーテクモに所属する作曲家である。高橋氏は初代アーケード版からシリーズに携わっている。また、石井氏は前作に引き続き参加しているようである。シリーズおなじみの洒落たテクノやエレクトロ系のサウンドは本作でも健在で、過去作からの流用曲もすくなくないが、新曲はいずれも逸品揃いである。サウンドトラックは未発売だが、後にチャンピオンジョッキーの追加DLCとして本作の楽曲が配信された。

ドバイワールドカップで流れるのがこの曲である。クラシックギターを軸にシンセやピアノを組み合わせたスタイリッシュな曲調が印象的で、ハウス風ともボサノヴァ風とも言える独特な雰囲気を漂わせている。はじめはギターやマラカスなどを用いてアコースティックな印象を与えるが、7秒頃に曲名を囁くデジタルボイスが加わり、ボイスに続いてキラキラとウィンドチャイムが鳴り、さらにストリングスとピアノが合流すると、たちまち電子音も交えて華やかに盛り上がっていく。終始洒落た勢いを貫くなかでも、とりわけ1分あたりで電子オルガンが即興風のフレーズを紡ぐパートや、そのあと1分17秒からストリングスが鮮やかに演奏するパートは、格別な聴き心地の良さが感じられる。ループ前の最後のサビとなる1分半過ぎでは、ボイスもストリングスもギターもピアノもパーカッションも一緒くたになって小気味良い合奏を披露することで、心躍るような快い恍惚感を生み出す。曲全体を通してセンスに満ちた一曲である。

GRシリーズってほとんどサントラ化されてないですよね。G1ジョッキーシリーズとあわせて歴代BGMを網羅するコンプリート盤でも出してほしいです。