ボードゲーム「人生ゲーム」を題材とする、
タカラがおくるパーティーゲーム・DX人生ゲームより、
塩田信之作曲、2の『セットアップ』（仮称）。セットアップ画面で流れます。
タカラによる人生ゲームのゲーム化作品群のうち、主にPS向けに展開していたDXシリーズの2作目にあたる本作。開始時にキャラを作成し、攻略するマップ（メルヘン・日本旅行・四季の3種類）や遊ぶターン数を決めたうえで、子どもから老後に至るまでの人生をすごろく状の盤面を進みながら追体験することになる。基本的なルールや流れは大元のボードゲームと共通しているが、前作では開始年齢が高校生だったのが本作では赤ちゃんから選べるようになった。社会人になると職業（知力・体力・センス・モラルの4種類のパラメータの成長具合によって就ける職業が変わる）を選択でき、ランダム要素のある豊富なイベントを楽しみつつ波乱万丈の人生を送ることができる。イベント内容は概してハチャメチャで、干していた洗濯物がなぜか黄金に変わっていたり、道端で知り合った宇宙人の故郷に遊びに行ったり、タイムトンネルに吸い込まれた先でパンダと結婚したりするなど、常識的に起こりそうにない出来事が頻発する。ヘンテコなノリに満ちた遊び心満載な仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは塩田信之氏。当時キッド（本作の開発元）に所属していた作曲家である。人生ゲームシリーズにはSUPER人生ゲーム2から携わっている。本作では山も谷もありすぎる生涯を表現するにあたって、快活で陽気なサウンドを中心にバラエティ豊かな楽曲が揃っている。メルヘンチックでファンタジックなものから、ちょっとおどろおどろしいもの、SF風のスタイリッシュなものまで、場面ごとに様々な曲調を聴くことができる。また、効果音や短いジングルにも印象的なものが多く、特に随所で用いられる悲鳴はやたらと耳に残る。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
セットアップ画面で流れるのがこの曲である。ゲーム開始時に参加人数を決めてキャラを作成し、性格や趣味や攻略するマップなどを選ぶ画面のことである。キャラを作成する際はあらかじめ用意されたものから選ぶだけでなく、髪型や顔パーツなどを細かく設定することもできるため、キャラメイクにこだわる場合はそこそこ長くセットアップ画面に留まることになる。そうした状況にあわせて、電気ピアノを軸とした癒し系の優しい音色で、まったりとくつろいだ気分で聴き入らせてくれる。丸みを帯びた温かい主旋律に、縁の下の力持ちの如く控えめながらもしっかりと支える低音のベース、そして鉄琴のような煌びやかな音色が絡み合うことで、穏やかで心休まるのと同時に好奇心をそそる前向きな印象を与える。起伏のすくない柔らかな曲調で、これから待ち受ける起伏だらけの人生への期待感を募らせてくれる一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。とても耳心地が良い曲ですね。
