VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1111 『S.G.J.C』(塩田信之/ミニ四駆 シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!!/SFC)

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タミヤの自動車模型・ミニ四駆を題材とする、

こしたてつひろ著のホビー漫画「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」を原作とする、

キッドがおくるレースシミュレーション・シャイニングスコーピオンより、

塩田信之作曲、『S.G.J.C』(仮称)。S.G.J.Cをはじめとする公式レースで流れます。

こしたてつひろ氏によるミニ四駆漫画「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」のゲーム化作品として登場した本作。ミニ四駆好きの主人公の少年は、訪れた佐上模型店でその才能をミニ四駆開発者の土屋博士に見込まれ、特製マシン・シャイニングスコーピオンを託されたことをきっかけに、スーパーグレートジャパンカップ(S.G.J.C)の優勝を目指すことになる。タイヤやモーターなどのパーツを自分好みに組み合わせてマシンをセッティングし、後はレースに出場して試合経過を見守る(レース中に能動的に介入できる要素がない)という形式のシミュレーションである。シナリオ面は星馬兄弟などの原作キャラと交流しつつ様々なレースを勝ち抜いていくというシンプルな内容だが、システム面はかなり凝っていて、パーツごとの性能差はもちろん、消耗度や空気抵抗など各要素が事細かく設定されている。最適な攻略法を模索して試行錯誤する必要があり、カジュアルな見た目ながらも全体的に硬派なゲームバランスを誇る。ミニ四駆ならではの奥深さを感じ取れる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは塩田信之氏。当時キッドに所属していた作曲家である。ミニ四駆の関連作品という括りでは本作の他に超速グランプリ(2020年サービス開始のアプリ)でも楽曲を提供している。本作ではレース曲は勇ましく疾走感のある曲調で、街や店のBGMは明るく親しみやすい雰囲気のものが用意されていて、曲数はそう多くないが非常に聴きやすいオーソドックスなサウンドが揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

S.G.J.Cをはじめとする公式レースで流れるのがこの曲である。上述の通りレース中は観戦するだけで、実況の台詞やトップ争いの映像を観ながら勝負の行方を見守ることになる。そうしたなかで流れるこの曲は、終始明朗快活なメロディーを紡ぐことで、期待に胸を弾ませて応援する気持ちを後押ししてくれる。イントロから小気味良くビートを刻むドラムパートに、低音のベースライン、伸びやかに響く勇壮な主旋律が絡み合い、適度な緊張感と前向きなスピード感を漂わせる。とりわけ44~48秒(上記動画の52~56秒)頃など、ぐんぐんと音階を上って気持ち良い高音を響かせるフレーズが印象的で、トップスピードで駆け抜けていく快感を強く実感できる。うまくセッティングできて順調な試合運びであればもちろんのこと、結果が振るわずとも再挑戦したくなるような心地良い響きに満ちた一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。曲が底抜けに明るいおかげで、すごくモチベーションになりますね。