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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1351 『頼れる仲間たち』(櫨本浩/ザ・デッドヒートブレイカーズ/3DS)

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バンプールがおくるバトルタワーディフェンス、ザ・デッドヒートブレイカーズより、

櫨本浩作曲、『頼れる仲間たち』。防衛準備画面で流れます。

ダウンロード専用で展開してきたザ・ローリングウエスタンシリーズの3作目にして、初のパッケージ版作品にあたる本作。近未来の荒野を舞台に、突如飛来した宇宙岩石生命体から人々を守るべく、紅い閃光の異名を持つアルマジロのジローが激走することになる。レースとタワーディフェンスが融合したゲーム性や、キャラの顔ぶれなど、多くの要素を継承しつつ、前作までとは繋がりのない物語と、舞台を大きく移したポストアポカリプス風の世界観を描いている。拠点を狙って侵攻してくる敵どもに対し、防備を固めたりガンナーを配置したりして事前準備を整え、いざ開戦したらジローを操作して突進アクションを駆使して迎え撃つ、という流れである。本作の新要素として、Miiをケモだちとして獣人化して作中に登場させることができる。プレイヤーの分身となる第二の主人公をバトルや街の探索で用いることができるほか、主人公以外にも様々なMiiをガンナーに起用して個別に成長・活躍させられる。メインのバトル要素とは別に、街ではレジ打ちをはじめとするバイトや、ピンボール、高額賞金レースなど、細々としたミニゲームに挑戦できる。前作はタッチペン操作が中心でバトルは作中時間で3日続く長丁場だったが、本作ではボタン操作を軸に1日の短期決戦へ代わった。快適さと手軽さを強化し、なおかつ中身の詰まった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは櫨本浩氏。当時バンプールに所属していた作曲家である。ザ・ローリングウエスタンシリーズには1作目から単独で作曲し続けている。前作までは西部劇を前面に押し出した作風だったが、本作では西部劇らしさを残しつつもよりSFチックで荒廃した雰囲気が漂っている。そのため、前作で多くみられたカントリーやブルーグラス系の楽曲は、本作でも一部見受けられるものの、全体的にオーケストラやデジロック系が目立つようになった。サウンドトラックは未発売だが、作中でやり込み要素の一環として音楽を再生できるジュークボックスが存在し、曲名はそこで明かされている。

防衛準備画面で流れるのがこの曲である。開戦前に準備を進める場面で、主にガンナー配置とバリケード強化をおこなっていく。戦いが始まればジローを操作して敵を蹴散らすことになるが、いくらジローが強力でも、複数ある拠点を同時に守り抜くには適切な人員配置と防備固めは不可欠である。そうしたなか、この曲ははっきりとしたビートとストリングスを用いた勇壮な曲調で、ここでの準備が戦局に影響するのだという感触を強く印象付ける。12~15秒や27~30秒で一際パワフルなオーケストラヒットを披露したり、32秒から管弦楽器がいっそう勇ましく響いたりするが、曲の核をなすリズムパターンは終始似通っていて、全体的なテンションに大きな変化はない。淡々と戦支度を整えるシチュエーションにぴったりなソリッドな一曲である。

背中を預ける頼もしさ、格好良さがよく滲み出ていますね。