岩切剛丈・中村康三・広野智章作曲、『アクティブ!(エンドタイトル)』。
ストーリークリア時のスタッフロールで流れます。
ゲームボーイ末期にカラー対応作品として登場した本作。異世界アルハ・ラウスを舞台に、データから実体化する鋼鉄の武装戦士・バトラーを操るバトラー乗りのリュートは、サレーナ国での暴走バトラーの出現と王女の失踪の謎を追って冒険することになる。ファンタジー×ロボットSFの世界観が特徴的な育成RPGで、全80体のバトラーを収集・対戦・合体・進化、ときには通信ケーブルを介して交換し合いながら物語を進めていく。ゲームサイクルやメカデザインは王道で、戦闘システムもオーソドックスなターン制コマンドバトルを採用しているが、1対1の交代制ではなく最大3対3のパーティ制で戦う形式を取っている。カラー対応作品ならではの鮮やかな色彩表現と、主に戦闘でウエポン(必殺技)を起動する際のカットイン演出が秀でていて、ロボットアニメ風の派手さと格好良さを存分に味わえる。ストーリークリア後のやり込み要素も充実していて、各地を巡って伝説のバトラーと対峙したり仲間にしたりすることができる。総じてジャンルの定番をきっちり押さえて質よく拵えた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩切剛丈氏、中村康三氏、広野智章氏。スタッフロールに記載はないが、小渕世子氏も携わっているという情報がある。いずれも当時コナミに所属していたか現在も所属している作曲家である。本作は音楽のつくり込みにも注力していて、音の鳴らし方や曲数の多さからはハード円熟期らしい表現力の高さが窺える。目玉の戦闘曲は、どのタイプのバトラーを先頭にするかによって通常戦闘だけで5種類+隠し1種類の計6曲用意されていて、ボス戦に関しても複数の専用曲が存在する。基本的には王道を征く熱く勇ましいサウンドが中心だが、極めてSFらしいサイバー感の強いものやノイズが目立つもの、それとは反対にファンタジーに寄って民族っぽさや物悲しさが漂うものなど、バラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売だが、作中に曲名付きのサウンドテスト機能が搭載されている。
ストーリークリア時のスタッフロールで流れるのがこの曲である。オープニングデモで流れる『アクティブ!(メインタイトル)』のフル尺バージョンであり、本作のメインテーマである。ノイズと高音を巧みに絡み合わせて急速に勢いを溜めるイントロで始まり、6秒過ぎでガツンと響くビートを加えた後、10秒あたりで勇ましく疾駆する主旋律が入る。さながら空を切る弾丸のような鋭い推進力があり、聴いているとどんどん前へ引っ張られるような感覚がある。15秒で高音を軋ませたり、21秒から昂揚感あふれるアルペジオを奏でたりして、畳みかけるようにしてインパクトのある聴かせどころを設けている。二度フレーズを繰り返した後、49秒からイントロに回帰しつつキーを変えてラストスパートをかける。これで旅が終わるのではなく、むしろクリア後のここからが本当の旅の始まりだ、と直感的に知らしめてくれる一曲である。
狂おしいほど格好良くて爆発力のある、GBチップチューンの粋みたいな曲ですね。『アクティブ!(メインタイトル)』もあわせてどうぞ。