VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#273 『スタジアム・コロシアムのセミファイナルなど』(多和田吏/ポケモンコロシアム/GC)

www.youtube.com

ジニアスソノリティが手がけるポケモンの外伝作・ポケモンコロシアムより、

多和田吏作曲、『スタジアム・コロシアムのセミファイナルなど』。

通称『君は戦いに何を見るか』で、トーナメントでの準決勝戦等で流れます。

ポケモンの本家シリーズのうち、ルビー・サファイアの発売からちょうど一年後に登場したゲームキューブ向けのスピンオフにあたる本作。GBAと連動することで対戦ツールとして運用できるほか、専用のストーリーモードでは本家の世界観とはかけ離れたハードでアングラな作風を堪能できる。ポケモン二体を同時に戦わせるダブルバトルを全編を通して採用していて、悪の組織に洗脳されて暴走するダークポケモンスナッチしながら事の真相に迫っていく異色のゲーム性が、本家にはない魅力を醸している。

本作の音楽を担当するのは多和田吏氏。ジニアス・ソノリティの設立者の一人で、同社の作品の作曲に多く携わっている。氏は続編のXDや流れを汲むバトレボなどでもすべての楽曲を単独で担当している。本作ではダークファンタジー寄りのシリアスな楽曲が大半を占めていて、ことに戦闘曲はいずれも気合の入った仕上がりとなっている。サウンドトラック等、曲名を確認できる媒体は存在しないが、一部正式曲名が判明しているものおよび通名が定着しているものもある。

勝ち抜き100連戦のバトル山での後半戦やトーナメントでの準決勝など、幾多もの死線を乗り越えた先で流れるのがこの曲である。じりじりと焦らすようなイントロから始まり、20秒を過ぎたあたり、両者ポケモンを出し終えていざ戦いの幕が開く頃に主旋律の火蓋が切られる。きらきらと輝く音色が特徴的な伴奏の上を、ブラス、ストリングス、エレキギターが颯爽と駆け抜けていき、複数の楽器で同じメロディを力強く反復することで、緊張感と昂揚感を最大限に高める。その勇ましくも悲哀に満ちた痛切な音使いが、絶対に負けるわけにはいかないという決意を固めさせてくれる。

コロシアムのようなダークサイドを描いた硬派なポケモン作品、もっと出てくれるといいな……と常々思っています。