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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#332 『BEAT OF EMOTION』(作曲者不明/ソーサルキングダム/MD)

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メサイヤがおくるメガドライブ後期のRPG・ソーサルキングダムより、

作曲者不明(便宜上、詳細は後述)、『BEAT OF EMOTION』。ラスボス戦の曲。

国策により冒険が奨励される王国にて、行方不明の父を探すべく、主人公が旅に出るという筋書きの本作。行く先々で困難を乗り越えるうち、やがて世界を脅かす諸悪の根源に立ち向かうことになる、という王道に王道を極めたシナリオが一周回って個性的で、戦闘システムは当時としては珍しいタクティカルバトルを採用していたり、レベルの概念が存在しなかったり、フォントが妙に読みづらかったりするなど、本作ならではの特徴的な部分もすくなくない。全体的に地味ながらもメガドライブの佳作RPGとして一定の評価を得ている。

本作の音楽を担当するのは、スタッフロールの表記に従うならばKOUICHI SHIMAMURA(島村孝一)氏とMAMI TANAKA(たなかまみ)氏である。ただしEGG MUSICから発売されている本作のサウンドトラックでは島村孝一氏ではなく島村陽一氏と記載されていて、情報が錯綜している。そのため、ここでは便宜上作曲者不明という扱いにする。メガドライブ内蔵のFM音源を使って奏でられるシャープでエレクトリックな楽曲の数々は、オーソドックスなファンタジーの世界観を手際よく表現した佳曲揃いである。曲数も30以上と90年代初期の作品にしてはかなり凝っている。

本作のラスボスであるブラックドラゴンとの戦闘で流れるのがこの曲である。父との再会を果たし、最後の戦いに臨む主人公一行に立ちはだかる最強の敵として、暗闇のなかから姿を現す瞬間に、この曲の超高音のイントロが流れ始め、戦闘開始の合図である「BATTLE!」の文字が表示されると同時に、13秒からの疾走感あふれる主旋律がスタートする。耳を劈くような鋭利な高音が、息もつかせぬ勢いで目まぐるしく展開し、「感情の鼓動」という曲名にふさわしい張り詰めた昂揚感が、ラストバトルを華麗に彩る。FM音源ロックの一つの完成形とも言うべき強烈な印象を残す一曲である。

ざらざらした音源だからこそ、この荒々しい感じが相乗効果でよく映えますね。

※コメントでご指摘いただいた点に基づいて内容を加筆訂正しました。