VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#994 『好奇心バックアップ』(岸利至/デジモンワールド -next 0rder-/PSV)

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B.B.スタジオがおくる育成RPGデジモンワールドより、

岸利至作曲、ネクストオーダーの『好奇心バックアップ』。

大断層エクスマキナで流れます。

デジモンRPG作品群・デジモンワールドの6作目にあたる本作。かつてデジモンのゲームに熱中していた高校三年生の主人公は、久々にデジヴァイスを起動すると突然ゲーム世界に誘われ、はじまりの街・フローティアを拠点に活動することになる。初代や前作(リ:デジタイズ)のゲーム性を受け継ぎつつ、本作ではパートナーとなるデジモンを2体同時に育てられる点が最大の特徴で、冒険も戦闘も2体で協力して進めていく。シナリオよりもデジタルワールドで暮らす生活感を重視した作風で、大部分は旧作通り、初代を彷彿とさせる要素が随所に仕込まれている。戦闘も育成も難易度はかなり低めに設定されていて、全体的にやや薄味な調整となっている。後に海外版を基にバランス調整とグラフィックの強化を施したインターナショナルエディションがPS4向けに登場した。

本作の音楽を担当するのは岸利至氏。J-POPの分野で活躍しているミュージシャンで、ゲーム音楽方面では同じくバンダイナムコが発売元の作品としてドラゴンボール系列やスパロボシリーズなどでの作曲経験がある。デジモンシリーズには初参加だが、本作の直後にリリースされたアプリのデジモンリンクス(サービス終了済み)にも携わっている。本作では石井祐子氏と山田耕司氏による初代のBGMをアレンジしたものがいくつか含まれていて、新曲ともども統一感のある楽曲群を楽しめる。サウンドトラックは国内では未発売だが、作中に音楽を鑑賞するモードが搭載されている。

大断層エクスマキナで流れるのがこの曲である。ここは巨大な歯車が特徴的な断層地帯で、メカメカしい外観に緑地や花畑なども混ざる風変りなマップである。そうした景色を彩るにあたって、歯切れの良いアコースティックギターのイントロで始まり、木琴を伴いながら同じフレーズを何度も反復してリズミカルなノリを生み出す。30秒ほどしてストリングスの旋律が入ってなお、変わることなく例のギターリフが小気味良く鳴り続けるが、サビを迎えるとようやくギターの音程も変化する。フレーズ終わりの1分21秒~23秒にギターが鳴り止むと、すぐさま元通りのリフを奏で始め、ループしたと錯覚させるも、続く1分40秒頃のフレーズで2小節分だけギターが欠けていて、絶妙なアクセントを効かせる。実際のループ位置は2分半過ぎで、うまく焦らすことで心躍る昂揚感をもたらしてくれる一曲である。

曲調も作曲者も違いますが、リデジのパウダリークリフを思い出します。どっちも得も言われぬ聴き心地の良さがあってすごく好きです。

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