VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1299 『STAGE 1』(田崎寿子/ウィップラッシュ 惑星ボルテガスの謎/MD)

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ビック東海がおくるシューティング・ウィップラッシュより、

田崎寿子作曲、『STAGE 1』(仮称)。1面で流れます。

バトルマニアなどで知られるビック東海の作品として登場した本作。人類が太陽系開発に着手してから半世紀経った頃、かつて未知の惑星・ボルテガスへと送るも音信普通となったはずの探査船が、姿を変えて人類に牙を剥いたことを受け、これに対抗すべく戦闘機・ウィップラッシュが出撃することになる。全7面構成の残機制横スクロールシューティングで、場面によっては強制縦スクロールも存在する。道中には、破壊するとパワーアップユニットが入手できるカプセルが配置されている。ユニットには英文字が刻まれていて、一定時間ごとに英文字と対応する中身が変わる。具体的にはL(レーザー:前方連射)、M(ミサイル:前後追尾)、F(ファイアーボール:移動方向の逆に弾を放つ性質上、使い方次第で全方位)、P(パワークロー:2つまで装備可能なオプション)の4種類が用意されている。また、強化具合とは別に、自機のスピードをいつでもボタン操作で切り替えられる。状況に応じてほしい装備や自機のスピードを見定めて攻略する必要がある。総じてまずまずの水準でまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは田崎寿子氏。スタッフロールではSOUND欄にてSERIINU AND SEBASTIANと記載されていて、SERIINUが田崎氏、SEBASTIANが橋本彦士氏(効果音担当)を指している。田崎氏は当時エイコムに所属していた作曲家で、橋本氏はフリーランスの作曲家である。本作ではいかにもメガドライブのシューティングらしいギンギン響くアップテンポでメタリックなサウンドが揃っている。作中にサウンドテストが存在するものの、楽曲は個別の曲名ではなく曲番号で示される。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

STAGE 1「都市上空」で流れるのがこの曲である。雲上から始まり、中ボス戦を挟んだ後に降下し、稲妻走る都市上空を飛行することになる。開幕直後から激しいインパクトを誇るエキサイティングな旋律が奏でられ、その勇ましくけたたましい金属質の響きは良い意味で耳につく。最初からフルスロットルで本番のサビを披露し、以降も似たフレーズを粘り強く反復するため、一見1ループが短い曲のように思えるが、1分過ぎになって新パートに突入すると、1分4~14秒には第一印象を上回るほどの強烈な盛り上がりをみせる。全体的な聴き心地はパワフルでヒロイックだが、それと同時に手をつけられない狂暴さのようなものも感じられ、人類の脅威に立ち向かう緊張感、雷を背に突っ切っていく疾走感が音を通してよく表現されている。荒れ狂うような勇壮さに満ちた一曲である。

いろいろ書きましたが、この曲を的確に言い表すなら一言「格好良い!」と叫ぶだけで十分な気がします。