VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1182 『F1-トライアンフ』(関口和之/スーパー桃太郎電鉄DX/SFC)

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ハドソンがおくるボードゲーム桃太郎電鉄より、

関口和之作曲、DXの『F1-トライアンフ』。F1イベントで流れます。

※通常の長さの単曲動画が見つからないため、1時間延長版ですが、2ループで止めてます

すごろく状のマップで鉄道会社運営を楽しめる桃鉄シリーズのうち、5作目にあたる本作。参加人数2~4人で最大99年間、サイコロの出目に応じて全国津々浦々の物件を巡って総資産を競う、という基本的なルールはそのままに、本作ではマップがリニューアルされ、イベントが刷新され、カードの種類が大幅に増えるなど、全体的に遊びの幅が広まった。専用のカードを使うと宇宙にまで行けるほか、後のシリーズでおなじみのワープ駅(所持金がゼロになる代わりに別の地点にワープできる駅)が初登場した。新たな駅の追加、細かな仕様やゲームバランスの調整、グラフィックのブラッシュアップなど、様々な面でより深く没頭できるようになった。シリーズの例に漏れずカジュアルながらも遊び甲斐のある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは関口和之氏。ロックバンド・サザンオールスターズのベーシストで、桃鉄シリーズには初代から携わっているおなじみのミュージシャンである。次作のHAPPY以降は宮路一昭氏も参加するようになるが、本作までは単独で作曲を担当している。本作ではシステム面やゲーム性がパワーアップされたのにあわせて、音楽面も進化していて、後の作品で定番化するBGMが多く用意されている。明るくカラッとした曲調を中心に、各イベントやカードにマッチした多彩な楽曲を楽しむことができる。サウンドトラックは未発売だが、作中にサウンドテストが存在する。

F1イベントで流れるのがこの曲である。時期および地域限定で発生するレアなイベントで、出場選手のスポンサーになってレースを観戦することになる。いかにもレースBGMらしい風を切るような疾走感を帯びた曲調が特徴である。手始めにイントロで電子オルガンやベースを駆使し、ポップで聴きやすい雰囲気を整えると、そのポジティブな印象を引き継いだまま10秒頃から主旋律が加わる。キャッチーだがどこか切なげな泣きメロの裏で、概ね同じ旋律をなぞりつつも煌やかに興を添える電子音が鳴り渡ることで、双方が互いを支え合い、ますます耳に残るような聴き心地の良さを生む。後ろでは変わらず小刻みに音を鳴らす粋なベースとパーカッションが付き添い、シンプルだが隙のない曲構成で鮮やかに盛り上げてくれる。レースの行方をハラハラとした気持ちで見守る状況にぴったりな、スリリングでスピーディーな一曲である。

桃鉄シリーズのF1イベントの曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。この曲は2から使われているみたいで、いろいろバージョンごとにアレンジされてます。